「ローマ教皇」という言葉は、全世界のカトリック教会を統（す）べるローマ教皇聖座を言いあらわすとともに、バチカン市国の元首をも言いあらわす、聖俗両面の総称となっています。
ところで、この「教皇」の原語、「POPE」という語彙（ごい）は「父」を表す言葉です。 昔のギリシャ語の、子供が父のことを親しみを込めて呼ぶときの「パパス」が、後々のラテン語に転用され、「パパ」という敬称になりました。 最初は司祭や司教に対してこの言葉を使っていました。 その後ラテン語ではこの「パパ」は段々限定した用い方をされるようになり、「パパ」の称号は「ローマ司教」に対してだけ使われるようになりました。 ローマ司教、すなわち「ローマ教皇」だけにこの称号を使うことになったのです。
「ローマ教皇」は、初代の聖ペトロから現在のベネディクトゥス16世まで265代を数えます。 そのすべての教皇について個々に詳しく記述するわけには到底まいりません。 それらについては専門書がありますから、そちらを参考にしていただければ良いと思います。 聖ペトロ以後の初期の教皇は、その人物像など業績も含めてきっちり捉（とら）えられていないところもあるようです。 それは致し方のないところでしょう。
また教皇の中には後の時代になって列福され「福者」になった教皇や、さらに列聖され「聖人」になった教皇もいます。 初期の教皇はほとんどすべて「聖人」に列せられています。 その後は「聖人」教皇は数えるほどしかありません。 一番最近の「聖人」教皇は第257代の聖ピウス10世（1903〜1914）です。 また最近列福された教皇は、第255代の福者ピウス9世（1846-1878）と第261代の福者ヨハネス23世（1958-1963）です。 列福された教皇は全部で10人、列聖された教皇は78人です。
現在ではローマ教皇は「コンクラーベ」で多数の枢機卿の互選で選ばれます。 コンクラーベは「シスチナ礼拝堂」で行われます。 「コンクラーベ」と云う言葉は、ラテン語の「cum-clavis」すなわち、「鍵のかかった部屋」から来ています。 いったん教皇に選ばれるとその任期は終身です。 しかし過去のローマ教皇の中には３度も教皇に選ばれた人がいます。 ベネディクトゥス9世（第145代、第147代、第150代教皇）です。 11世紀の中頃のコンクラーベもなかった時代の話です。 この例はまったくの例外でしょう。
また同じ教皇名を名乗るときは、一番最初は別として、次世から順番に２世、３世と付けていくのですが、中には（〜世の）数字が一つあるいは二つ飛んでいるのもあります。 「対立教皇」の〜世を避けた例もありますが、まったく勘違い？あるいは間違い？で、一つ抜けて付けられた教皇もあります。 その例は「ヨハネス20世」です。 ヨハネス20世と云う名の教皇は存在しません、抜けてしまったのです。 ヨハネス19世の次にヨハネスを名乗った教皇はヨハネス21世でした。 対立教皇にその名があったので抜けている例は、アレクサンデル5世、ベネディクトゥス10世、ボニファティウス7世、ヨハネス16世です。 その他の理由で抜けているのは、フェリクス2世、マルティヌス2世、マルティヌス3世です。
今までで、一番長く教皇の座にあったのは、聖ペトロ（在位34年間？ 37年間？）です。 二番目は第255代教皇福者ピウス9世で、在位期間は1846年から1878年までの32年（31年7ヶ月22日、11,560日）間でした。 三番目は、第264代教皇ヨハネス-パウルス2世です。 2004年3月14日、それまで歴代第3位であった第256代教皇レオ13世の在位期間25年（25年4ヶ月17日）をお抜きになられました。 2003年10月16日が在位25周年記念でした。 しかし、病を患われ2005年4月2日午後9時37分（日本時間3日午前4時37分）ご逝去になられました。 在位期間は26年5ヶ月あまり（26年173日、9,673日）でした。
《 2005年4月19日（火）午後6時過ぎ（日本時間20日午前1時過ぎ）新教皇が選出されました。 ヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿です。 新教皇はベネディクトゥス16世を名乗ることが決まりました。 》
逆に一番短かったのは、752年の第92代教皇ステファヌス2世です。 たった1日（3日間という説もあります）でした。 ただしこの教皇は教皇冠を受ける前に死去したので、歴代教皇リストから除かれています。 二番目は第228代教皇ウルバヌス7世の13日間、三番目は第112代教皇ボニファティウス6世の15日間でした。
また、今までで一番多く使われた教皇名は「ヨハネス」です。 以下「グレゴリウス」と「ベネディクトゥス」が同数で続きます。 さらに、一回限りの教皇名は全部で43あります。
教皇ベネディクトゥス16世は、健康上の理由で、2013年2月28日をもって自ら退任されました。
2013年3月13日午後7時6分新教皇誕生です（日本時間3月14日午前3時6分）。新教皇はアルゼンチン人でブエノスアイレス大司教のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿（７６）に決まりました。フランシスコを名乗ります。
〈歴代教皇〉
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初 代〜第99代： 聖ペトロ（ ？〜67？）〜エウゲニウス2世（824〜827）
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第100代〜第199代： ウァレンティヌス（827〜827）〜インノケンティウス6世（1352〜1362）
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第200代〜第266代： 福者ウルバヌス5世（1362〜1370）〜フランシスコ（2013〜）
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